ITパスポート試験 ストラテジ系の出題範囲と傾向|頻出分野と効率的な学習法を解説

ITパスポート試験 ストラテジ系とは?

ストラテジ系は、ITパスポート試験で出題される 3つの分野(ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系) のひとつです。「ストラテジ(Strategy)」とは戦略のことで、ここでは 経営やビジネスの視点からITをどう活用するか を学ぶ分野を指します。

たとえば会社を運営するには、利益を出すための仕組み(経営戦略)、法律を守るためのルール(法務)、ITをどう業務に取り入れるか(システム戦略)といった知識が必要です。ストラテジ系では、このような ビジネスや社会の基本的な仕組みを幅広く問われます

IT職種を目指す人だけでなく、一般の社会人や学生にとっても役立つ内容が多く、ITとビジネスの両面に強い人材を育成するための基礎知識 といえるでしょう。

ITパスポート試験 ストラテジ系の出題範囲

ITパスポート試験のストラテジ系は、「企業と法務」「経営戦略」「システム戦略」 の3分野から構成されています。

ストラテジ系は試験全体で 35問 出題されます。ITパスポート試験100問のうち3分の1を占めるため、得点源として重要な分野 です。

企業と法務(ITパスポート試験 ストラテジ系)

ITパスポート試験のストラテジ系に含まれる企業と法務は、企業活動の仕組みやビジネスで関わる法律の基礎知識を問う分野です。

この分野は 「企業活動」と「法務」 の2つに分かれており、それぞれ次のような知識が問われます。

出題範囲の概要

企業活動
  • 企業組織の仕組み、会計・財務の基礎、経営資源の活用方法を学びます。
  • 例:組織形態(株式会社・合同会社)、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表の読み方
法務
  • ビジネスで必須となる法律やルールを理解します。
  • 例:著作権法、個人情報保護法、労働関連法規、下請法、独占禁止法など

出題の特徴

  • 法務分野は 毎回必ず出題される頻出テーマ です。
  • 企業活動も社会人として知っておくべき知識として重要視されます。
  • 特に著作権や個人情報保護は出題率が高く、優先的に学習すべき分野です。

経営戦略(ITパスポート試験 ストラテジ系)

ITパスポート試験のストラテジ系に含まれる経営戦略は、企業が成長し続けるための戦略や計画を学ぶ分野です。ビジネスの仕組みやマーケティング、業界ごとの特徴を理解することが目的です。

この分野は 「経営戦略マネジメント」「技術戦略マネジメント」「ビジネスインダストリ」 の3つに分かれています。

出題範囲の概要

経営戦略マネジメント
  • 企業の経営計画、経営管理、事業戦略の立案に関する基本知識
  • 例:SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)、PDCAサイクル
技術戦略マネジメント
  • 新しい技術や研究開発の導入、技術革新に関する戦略
  • 例:AI・IoT導入計画、オープンイノベーション
ビジネスインダストリ
  • 製造業・流通業・金融業など、業界ごとのビジネスモデルの特徴を理解
  • 例:サプライチェーン、電子商取引(EC)

出題の特徴

  • 経営戦略は ストラテジ系の中でも出題数が多い分野 です。
  • 特にSWOT分析やマーケティングの基本概念は繰り返し出題されます。
  • 業界知識も幅広く出題されますが、基本用語を押さえることで得点しやすい分野です。

システム戦略(ITパスポート試験 ストラテジ系)

ITパスポート試験のストラテジ系に含まれる システム戦略 は、企業の情報システムをどう企画し、導入し、活用していくかを学ぶ分野です。IT投資の意思決定や情報システムの導入計画など、ビジネスのIT活用に直結する知識が求められます。

この分野は 「システム戦略」と「システム企画」 の2つに分かれています。

出題範囲の概要

システム戦略
  • 企業全体のIT活用方針や情報システム戦略の策定
  • 例:ITガバナンス、情報システム投資の評価、ITポートフォリオ管理

システム戦略の詳細は、こちらのページからご確認いただけます。

システム企画
  • システム導入前の業務分析や要件定義、投資効果の評価など企画段階の知識
  • 例:要件定義プロセス、業務フロー分析、費用対効果(ROI)

出題の特徴

  • システム戦略は ビジネスとITをつなぐ分野 で、DX推進やIT投資の基礎知識として重要です。
  • 出題数はやや少なめですが、実務でも役立つ用語が多く学習価値が高い分野です。
  • IT投資やシステム化計画の基本用語を理解しておくことで、得点につながりやすいです。

ITパスポート試験 ストラテジ系の出題傾向(シラバス詳細)

令和元年から令和7年までの出題データを集計すると、ストラテジ系の中で出題数の多い分野がはっきりと見えてきます。これにより、受験生はどの分野を優先的に学習すべきかを判断できます。

大分類 中分類小分類出題数
企業と法務企業活動経営・組織論11
企業と法務企業活動業務分析・データ利活用14
企業と法務企業活動会計・財務17
企業と法務法務知的財産権16
企業と法務法務セキュリティ関連法規15
企業と法務法務労働関連・取引関連法規6
企業と法務法務その他の法律・ガイドライン・情報倫理8
企業と法務法務標準化関連8
経営戦略経営戦略マネジメント経営戦略手法10
経営戦略経営戦略マネジメントマーケティング9
経営戦略経営戦略マネジメントビジネス戦略と目標・評価5
経営戦略経営戦略マネジメント経営管理システム8
経営戦略技術戦略マネジメント技術開発戦略の立案・技術開発計画15
経営戦略ビジネスインダストリビジネスシステム22
経営戦略ビジネスインダストリエンジニアリングシステム8
経営戦略ビジネスインダストリe-ビジネス14
経営戦略ビジネスインダストリIoTシステム・組込みシステム11
システム戦略システム戦略情報システム戦略5
システム戦略システム戦略業務プロセス22
システム戦略システム戦略ソリューションビジネス3
システム戦略システム戦略システム活用促進・評価7
システム戦略システム企画システム化計画3
システム戦略システム企画要件定義2
システム戦略システム企画調達計画・実施6
見出しをクリックすると並び替えができます

令和元年〜令和7年の出題データを分析すると、ストラテジ系の小分類の中でも特に出題数が多く、得点源にしやすい分野が明確になります。

出題数が多い(ベスト)
  • 業務プロセス/ビジネスシステム
  • 会計・財務
  • 知的財産権
出題数が少ない(ワースト)
  • 要件定義
  • システム化計画
  • ソリューションビジネス

出題数が多い分野(重点的に学習すべき分野)

  • ビジネスシステム(22問)
    e-ビジネスや業界別システムの知識が多く問われており、ビジネスインダストリ分野の中で最も出題数が多いテーマです。
  • 業務プロセス(22問)
    業務改善やシステム化の流れに関する問題が頻出。BPR(Business Process Reengineering)を中心とした知識が問われます。
  • 会計・財務(17問)
    財務諸表の基礎、原価計算、経営指標など、IT以外のビジネス知識が問われるのが特徴です。
  • 知的財産権(16問)
    財務諸表の基礎、原価計算、経営指標など、IT以外のビジネス知識が問われるのが特徴です。
  • セキュリティ関連法規(15問)
    個人情報保護法や不正アクセス禁止法など、企業のコンプライアンスやセキュリティ管理に直結する法律が中心です。
  • 技術開発戦略の立案・技術開発計画(15問)
    新技術の開発や技術導入計画に関する戦略問題が多い分野です。
  • e-ビジネス(14問)
    インターネットを活用したビジネスモデルやオンラインサービスの知識が問われます。

出題数が少ない分野(学習優先度は低め)

  • ソリューションビジネス(3問)システム化計画(3問)要件定義(2問)
    出題数が少ないため、時間が限られている場合は後回しでも問題ありません。
  • 労働関連・取引関連法規(6問)ビジネス戦略と目標・評価(5問)情報システム戦略(5問)調達計画・実施(6問)
    出題頻度が低く、学習の優先度は中〜低程度です。

全体の出題傾向の詳細は、こちらのページからご確認いただけます。

ITパスポート試験 ストラテジ系の効率的な学習法

出題頻度の高い分野から学習を始める

令和元年〜令和7年の出題データによると、以下の分野は出題数が多く、得点源にしやすいことがわかっています。

  • 業務プロセス(システム戦略分野)
  • ビジネスシステム(経営戦略分野)
  • 会計・財務(企業活動分野)
  • 知的財産権(法務分野)
  • セキュリティ関連法規(法務分野)
  • 技術開発戦略の立案・技術開発計画(技術戦略マネジメント分野)
  • e-ビジネス(ビジネスインダストリ分野)

この順番で学習を進めることで、限られた時間でも効率的に得点力を高められます。

過去問を繰り返し解く

ITパスポート試験では、過去問と類似した問題が繰り返し出題 されます。過去問演習を通じて、

  • よく出るテーマを把握
  • 問題文の言い回しに慣れる
  • 時間配分の感覚を身につける

ことができます。間違えた問題は必ず解説を読んで、なぜ間違えたのか理解することが重要です。