ITパスポート試験の「ストラテジ系」分野の中でも、「システム戦略」は非常に重要なテーマです。
この領域では、経営戦略と情報システム(IT)の関係を理解し、
企業の目標達成のためにITをどう活用すべきかを考える力が問われます。
つまり、システム戦略とは単なるIT導入の話ではなく、
経営を支えるIT活用の方向性を定める戦略なのです。
この記事では、その「システム戦略」の全体像を整理し、
4つの構成要素(情報システム戦略・業務プロセス・ソリューションビジネス・システム活用促進/評価)をわかりやすく紹介します。
システム戦略とは、経営戦略を実現するためにITをどのように活用するかを定める計画・方針のことです。
経営目標(売上拡大・業務効率化・顧客満足向上など)を達成するために、
情報システムを戦略的に位置づけて運用する考え方を指します。
システム戦略は、経営戦略を支える「ITの土台」です。
経営がどの方向を目指すかを踏まえて、ITをどう活用するかを決めます。
この関係を図で示すと以下のようになります。
| 階層 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 経営戦略 | 企業の方向性を決める | 新規事業開発・コスト削減・顧客満足度向上 |
| システム戦略 | 経営を支えるITの活用方針 | 情報システムの導入・業務プロセスの改善 |
つまり、「経営で決めた方針を、ITの力でどう実現するか」を考えるのがシステム戦略です。
システム戦略は、次の4つの領域から構成されます。
それぞれは同じレベルの関係にあり、相互に関わり合っています。
| 領域 | 概要 | 主なキーワード |
|---|---|---|
| 情報システム戦略 | 経営を支えるIT全体の方針や計画 | IT投資、EA(エンタープライズアーキテクチャ)、BSC、KPI |
| 業務プロセス | 業務の流れや仕組みを分析・改善する手法 | BPR、BPMN、ナレッジマネジメント |
| ソリューションビジネス | ITサービス提供者側の戦略 | ITIL、SLA、クラウド、アウトソーシング |
| システム活用促進・評価 | IT導入後の効果測定と改善活動 | ROI、KPI、情報活用、システム監査 |
これら4つの領域は、
「計画 → 実行 → 活用 → 改善」のサイクルでつながっています。
実際の企業におけるシステム戦略は、次の流れで策定されます。
① 現状分析(As-Is)
現在の業務や情報システムの課題を洗い出します。
例:データが部門ごとにバラバラ、業務フローが非効率など。
② 目標設定(To-Be)
理想的な状態を定義します。
例:「顧客データを一元管理し、マーケティングを効率化する」など。
③ 戦略立案とIT活用計画
課題と目標を踏まえ、どのようなIT施策を実行するかを計画します。
例:CRM導入、ERP統合、AI分析ツール活用など。
この「As-Is → To-Be → IT活用」という流れは、
システム戦略を理解するうえで最も基本的な考え方です。
システム戦略分野の問題は、
図や表を使った概念理解を問う問題が多く出題されます。
特に以下のキーワードは頻出です。
- EA(エンタープライズアーキテクチャ)
- BSC(バランススコアカード)/CSF/KPI
- BPR(業務プロセス改革)/BPM(業務管理)
- ITIL/SLA(サービス品質管理)
- ROI(投資効果)/TCO(総保有コスト)
「どのフェーズで使われる考え方か?」を意識して覚えると理解が深まります。
(例:EAは計画段階、ROIは評価段階)
システム戦略分野は広く見えますが、
「ITを計画して → 業務に適用して → 効果を測定する」という流れで整理するとスッキリ理解できます。
- 情報システム戦略:ITの全体設計を考える
- 業務プロセス:業務の仕組みを見直す
- ソリューションビジネス:ITサービス提供の仕組みを理解する
- システム活用促進・評価:IT導入後の活用・評価を学ぶ
この順序で学ぶことで、「経営 × 業務 × IT × 評価」という全体像がつながります。
情報システム戦略の詳細は、こちらのページからご確認いただけます。

