ITパスポート試験の3分野のひとつであるテクノロジ系は、ITに関する基礎理論・コンピュータシステム・技術要素の知識を問う分野です。
ストラテジ系やマネジメント系がビジネスや運営の視点でのIT活用を扱うのに対し、テクノロジ系はITの仕組みや動作原理に焦点を当てており、ITの基礎力を固める上で欠かせない分野です。
テクノロジ系は、ITパスポート試験の中で最も出題数が多い分野で、ITの基礎知識を幅広くカバーしています。出題範囲は大きく基礎理論・コンピュータシステム・技術要素の3つに分かれます。
基礎理論は、ITパスポート試験のテクノロジ系の中でコンピュータの仕組みや情報処理の基礎を理解するための分野です。
この分野はITの基礎体力をつける役割を持ち、IT未経験者にとって最初のハードルになることもありますが、基本を押さえれば得点源にできます。
この分野は 「基礎理論」と「アルゴリズムとプログラミング」 の2つに分かれており、それぞれ次のような知識が問われます。
- 情報の表現方法(2進数、16進数、文字コード、データの単位など)
- 論理演算やブール代数、論理回路の基本
- 計算量やソート・探索アルゴリズムの基本的な考え方
- 流れ図(フローチャート)の読み取り
- 擬似言語による簡単なプログラムの処理手順の理解
- 変数・分岐・繰り返しなどプログラムの基本概念
- 計算問題(2進数変換や論理演算)が出題されることがある
- フローチャートや擬似言語は処理の流れを理解する力が問われる
- 難易度は低〜中程度で、基礎を押さえれば安定した得点源になる
ITパスポート試験のテクノロジ系に含まれるコンピュータシステムは、ITの基盤となるハードウェア・ソフトウェア・システム構成の基礎知識を問う分野です。
コンピュータの仕組みやOS、ネットワーク構成などの基本を理解することで、ITシステム全体の動作原理がつかめます。
この分野は 「コンピュータ構成要素」「システム構成要素」「ソフトウェア」「ハードウェア」 の4つに分かれており、それぞれ次のような知識が問われます。
- CPU・メモリ・ストレージ・入出力装置といったハードウェアの役割
- 半導体やデジタル回路、クロック周波数などの基礎知識
- OS(オペレーティングシステム)の仕組みと種類(Windows・Linux・UNIXなど)
- ミドルウェアや仮想化技術、クラウド基盤の基礎知識
- アプリケーションソフトとシステムソフトの違い
- オープンソースソフトウェアやソフトウェアライセンスの種類
- 入出力インタフェース(USB・HDMI・Ethernetなど)の基礎
- サーバー・クライアント型システム、クラウドコンピューティングの基本
- 用語の正確な理解が得点のポイント
- クラウド化や仮想化など最新のシステム構成技術にも対応が必要
- 難易度は低めで、基礎を押さえれば得点源にしやすい分野
ITパスポート試験のテクノロジ系に含まれる技術要素は、ITサービスを支えるネットワーク・セキュリティ・データベースなどの重要な技術分野を学ぶパートです。
情報通信や情報管理の基礎から最新技術の概要まで、幅広い知識が問われます。
この分野は 「情報デザイン」「情報メディア」「データベース」「ネットワーク」「セキュリティ」 の5つに分かれており、それぞれ次のような知識が問われます。
- UI(ユーザーインタフェース)・UX(ユーザーエクスペリエンス)の基礎概念
- 画像・音声・動画などデジタルメディアの特徴と圧縮技術
- データベースの基本概念(リレーショナルデータベース・正規化)
- SQL(データ操作言語)の基礎、トランザクション管理
- LAN・WAN・インターネットなどのネットワーク構成
- IPアドレス、DNS、ルーティング、通信プロトコル(TCP/IP・HTTP・HTTPS)
- 暗号化・電子署名・認証・アクセス制御の基礎
- 情報セキュリティマネジメント(リスク管理・脅威と対策)
- マルウェア・不正アクセス対策・セキュリティポリシー
- セキュリティとネットワークは毎回の試験で出題数が多い重要分野
- データベースはSQLや正規化の基礎知識が中心
- 最新技術は概要レベルでの理解が求められる
令和元年から令和7年までのテクノロジ系の小分類別出題数を集計すると、出題数が多い分野が明確になります。
大分類 | 中分類 | 小分類 | 問題数 |
---|---|---|---|
基礎理論 | 基礎理論 | 離散数学 | 4 |
基礎理論 | 基礎理論 | 応用数学 | 4 |
基礎理論 | 基礎理論 | 情報に関する理論 | 8 |
基礎理論 | アルゴリズムとプログラミング | データ構造 | 1 |
基礎理論 | アルゴリズムとプログラミング | アルゴリズムとプログラミング | 8 |
基礎理論 | アルゴリズムとプログラミング | プログラミング言語 | 0 |
基礎理論 | アルゴリズムとプログラミング | その他の言語 | 1 |
コンピュータシステム | コンピュータ構成要素 | プロセッサ | 4 |
コンピュータシステム | コンピュータ構成要素 | メモリ | 5 |
コンピュータシステム | コンピュータ構成要素 | 入出力デバイス | 6 |
コンピュータシステム | システム構成要素 | システムの構成 | 7 |
コンピュータシステム | システム構成要素 | システムの評価指標 | 4 |
コンピュータシステム | ソフトウェア | オペレーティングシステム | 1 |
コンピュータシステム | ソフトウェア | ファイルシステム | 2 |
コンピュータシステム | ソフトウェア | オフィスツール | 5 |
コンピュータシステム | ソフトウェア | オープンソースソフトウェア | 5 |
コンピュータシステム | ハードウェア | コンピュータ・入出力装置 | 5 |
技術要素 | 情報デザイン | 情報デザイン | 0 |
技術要素 | 情報デザイン | インターフェース設計 | 1 |
技術要素 | 情報メディア | マルチメディア技術 | 3 |
技術要素 | 情報メディア | マルチメディア応用 | 2 |
技術要素 | データベース | データベース方式 | 4 |
技術要素 | データベース | データベース設計 | 7 |
技術要素 | データベース | データ操作 | 4 |
技術要素 | データベース | トランザクション処理 | 5 |
技術要素 | ネットワーク | ネットワーク方式 | 15 |
技術要素 | ネットワーク | 通信プロトコル | 5 |
技術要素 | ネットワーク | ネットワーク応用 | 16 |
技術要素 | セキュリティ | 情報セキュリティ | 16 |
技術要素 | セキュリティ | 情報セキュリティ管理 | 29 |
技術要素 | セキュリティ | 情報セキュリティ対策・実装技術 | 49 |
令和元年〜令和7年の出題データを分析すると、テクノロジ系の小分類の中でも特に出題数が多く、得点源にしやすい分野が明確になります。
- 情報セキュリティ対策・実装技術
- 情報セキュリティ管理
- 情報セキュリティ
- 情報デザイン
- プログラミング言語
- データ構造/その他の言語/オペレーティングシステム/インターフェース設計
令和元年から令和7年までの出題データを分析すると、テクノロジ系はITパスポート試験全体の約40〜45%を占め、最も出題数が多い分野であることがわかります。特にセキュリティ・ネットワーク・データベースの3分野は出題頻度が高く、学習の優先順位を決めるうえで重要な指標となります。
まず、セキュリティ分野が圧倒的に多く、情報セキュリティ・情報セキュリティ管理・セキュリティ対策を合わせると約94問が出題されており、テクノロジ系の中でも最重要分野です。暗号化、アクセス制御、マルウェア対策、セキュリティポリシーなど、実務に直結する知識が中心となります。
次に、ネットワーク分野はLAN/WANや通信プロトコル、DNS、クラウドなど、基礎から応用まで幅広い内容が36問出題されており、セキュリティと並んで得点源になりやすい分野です。さらに、データベース分野もSQL、正規化、トランザクション処理などの基礎知識が20問出題され、確実に押さえておきたい内容です。
一方で、コンピュータシステム分野はプロセッサ・メモリ・OS・クラウド・入出力装置などの基本知識が中心で、約44問が出題されます。難易度は中程度であり、用語と役割を正確に理解すれば得点しやすい分野です。基礎理論分野も数学的理論やアルゴリズムが問われ、26問程度と中規模の出題数です。
最後に、情報デザイン・情報メディア分野は出題数が6問前後と少なく、学習時間が限られている場合は後回しにしても問題ありません。
これらの結果から、効率的に得点力を上げるには、セキュリティ → ネットワーク → データベース → コンピュータシステム → 基礎理論の順で優先的に学習し、情報デザイン・情報メディアは時間に余裕があれば取り組むのが最適です。
全体の出題傾向の詳細は、こちらのページからご確認いただけます。
令和元年〜令和7年の出題データによると、以下の分野は出題数が多く、得点源にしやすいことがわかっています。
- 情報セキュリティ対策・実装技術(セキュリティ分野)
- 情報セキュリティ管理(セキュリティ分野)
- 情報セキュリティ(セキュリティ分野)
- ネットワーク応用(ネットワーク分野)
この順番で学習を進めることで、限られた時間でも効率的に得点力を高められます。
ITパスポート試験では、過去問と類似した問題が繰り返し出題 されます。過去問演習を通じて、
- よく出るテーマを把握
- 問題文の言い回しに慣れる
- 時間配分の感覚を身につける
ことができます。間違えた問題は必ず解説を読んで、なぜ間違えたのか理解することが重要です。