ITパスポート試験のストラテジ系で出題される情報システム戦略は、経営戦略とIT活用を結びつける分野です。この記事では、出題範囲・頻出テーマ・効率的な学習法までを整理し、最短で得点源にする方法をわかりやすく解説します。
令和元年から令和7年までの情報システム戦略の出題傾向になります。
| 大分類 | 中分類 | 小分類 | 出題数 |
|---|---|---|---|
| システム戦略 | システム戦略 | 情報システム戦略 | 5 |
| システム戦略 | システム戦略 | 業務プロセス | 22 |
| システム戦略 | システム戦略 | ソリューションビジネス | 3 |
| システム戦略 | システム戦略 | システム活用促進・評価 | 7 |
- 頻出テーマを優先的に学習
ITガバナンスとBPRは必須項目です。過去問で出題回数が多い用語をまず暗記しましょう。 - システム導入の流れを図で整理
戦略立案 → 業務プロセス改善 → IT投資計画 → ITガバナンスの流れを理解すると得点しやすくなります。 - 過去問演習で用語理解を強化
実際の問題で出題パターンに慣れることが合格への近道です。
情報システム戦略とは、企業や組織が経営目標を達成するために、情報システムをどのように活用・整備するかを計画する活動のことです。
単にシステムを導入するだけでなく、経営戦略や業務プロセスと整合させ、組織全体の価値を高めることが目的であり、この戦略の責任者は通常「CIO」が担当します。
情報システム戦略の立案は、以下の4つがポイントです。
- 経営戦略との整合性
中期経営計画や戦略目標を理解し、情報システム戦略に反映します。 - 全体最適化
個別システムだけでなく、組織全体のシステムを統合的に最適化します。 - 投資方針の明確化
情報化投資計画と連動して投資の優先度を決めます。 - リスク管理と将来対応
セキュリティや運用リスクを考慮し、将来変化に対応します。
この流れを理解すると、情報システム戦略が具体的な開発までどうつながるかがわかります。
- 経営戦略を確認
経営目標を把握して情報システム戦略の方向性を決める土台です。 - 情報システム戦略を立案
経営戦略に沿って組織全体のあるべき情報システム像を決定する工程で、EAなどの分析もここで行います。 - 全体システム化計画・情報化投資計画を作成
戦略を具体的な計画に落とし込み、投資の優先順位や金額を決定します。 - 個別システムの企画・開発
全体計画に沿って具体的なシステム開発を実施します。SoR・SoE・エンタープライズサーチなどもここで設計・導入されます。 - ITガバナンス
立案から開発・運用まで全体を統制し、戦略の実効性・投資効果を評価する枠組みです。CIOが責任者として全体を監督します。
エンタープライズアーキテクチャ(EA:Enterprise Architecture)とは、情報システムや業務プロセスの現状を把握し、理想の姿との差を分析(ギャップ分析)して目標を設定することで、組織全体の最適化を図る手法です。
具体的には、まず組織全体の情報システムをビジネス・データ・アプリケーション・技術の4つの階層に分けて現状を把握し、目標とする理想像を設定します。
次に現状と理想像の乖離を明確にし、理想像に向けた改善活動を移行計画として定義していきます。

エンタープライズサーチ(Enterprise Search)とは、 EAで整理・最適化された企業全体の情報資源を活用するための仕組みです。
企業内の文書・メール・データベースなどを一元的に検索できることで、必要な情報を迅速に取り出し、業務の効率化や意思決定の支援を行います。
企業の情報システムには、役割の異なるシステムがあります。
| SoR (Systems of Record) | 企業の業務や取引などの基幹情報を記録・管理するシステムです。売上や在庫、顧客情報などの正確なデータを保持することが目的で、業務の信頼性・正確性を支えます。 |
| SoE (Systems of Engagement) | 顧客や従業員とのやり取りやコミュニケーションを支援するシステムです。SNS、チャットツール、モバイルアプリなど、情報の活用や関係構築を目的としています。 |
- 情報システム戦略:経営戦略との整合性を保ち、組織全体のシステム最適化を図る計画(CIOが責任者)
- EA:業務・データ・アプリ・技術の4階層で現状と理想の差(ギャップ)を分析
- エンタープライズサーチ:社内情報を一元検索
- SoR:基幹情報を記録・管理
- SoE:顧客・従業員とのコミュニケーション支援

